政治的改革の難しさ

いわゆる「事業仕分け」で科学予算を大幅に削られた研究者のみなさんが怒り心頭のようだ。

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いわく「日本の未来を形成する科学技術費を削るとはけしからん」とのこと。その通りと思いつつも、やっぱり無駄な研究はあるよな、とも自分の経験からしても思う。

でもね。

私が、無駄の固まりだと思っている農業関係の予算が削られたら、農民たちもまったく同じように騒ぎ立てるんだろうな。「人の命の源となる日本の農業を保護育成する予算を削るとはけしからん」と言いつつ。

だから、私は公的セクターというのが嫌いなんだよ。予算を配分する唯一無二の正しい方法なんてない。何が無駄か判定するのは人によってものさしが違うからとても難しい。予算を削るとき、どこを削っても誰からか批判される。まったくそういう作業を引き受ける政治家も損な役回りだな。

「無駄を削って、必要なものに使う」という言説は、総論賛成・各論反対の役立たずだ。しかし、日本はこの政府累積債務をどうするのかね・・・。歳出削減はこの激しい抵抗だし、増税なんかもっとみんな騒ぐしね。

やっぱり 日本の財政は、IMF の管理下におかれるしかないのか。

実は、2000年代の初め頃、ネバダ・レポートなる怪文書が政府・金融関係者の間で出回ったそうだ。日本の財政破綻が避けられない情勢になったとき IMF がどのように日本の財政再建を指導していくか記したものだ。文書の信憑性はともかく、内容が衝撃的だったために脚光を浴びた。

(1)公務員の総数、給料は三〇%以上カット、及びボーナスは例外なくすべてカット。
(2)公務員の退職金は一切認めない、一〇〇%カット。
(3)年金は一律三〇%カット。
(4)国債の利払いは五年から十年間停止。
(5)消費税を二〇%に引き上げる。
(6)課税最低限を引き下げ、年収百万円以上から徴税を行う。
(7)資産税を導入し、不動産に対しては公示価格の五%を課税。債券、社債については五から一五%の課税。
(8)預金については一律ペイオフを実施し、第二段階として、預金を三〇%から四〇%カットする。

でも現実に起きるんじゃないかな・・・そういうことが。アメリカを中心とした国際社会が、「財政規律守れませんでした。国債は日銀が買いまくりました。ハイパーインフレになりました」を許してくれないと思うのだ。そうしたら、世界の金融秩序をかき乱すことになるので。政治的改革には、憎まれ役が必要だ。かつて、GHQ がそれを引き受けたように、今度は IMF か。