海外ニートさんとの出会い

昨晩、シンガポール中心部で、海外ニートさんにお会いした。日本の過酷な労働環境を糾弾するニートの海外就職日記で有名なお方。「ニート&パチプロ(職歴なし男28歳)から海外留学、海外就職」というユニークな経歴をお持ちである。お会いしてみると、ブログでの挑発的な印象とは違って、実に腰が低い礼儀正しい好青年であった。ブログの文体は、海外ニートさんの芸風なのであろう。文章はとても読みやすく主張をよく伝えている。文章がうまいのだなあ、と思う。

私はカナダで4年、海外ニートさんはオーストラリアで数年過ごしている。アメリカ・カナダ・オーストラリアなどの英語圏の国々は、細部では異なるけれども、基本的な社会構造はだいたい同じである。英語圏で暮らす日本人にも2種類あって、英語圏の文化にどっぷり漬かる人と、日本人コミュニティに閉じこもって暮らす人がいる。私も海外ニートさんも、前者で、英語圏の文化に漬かって生きてきた。「そういうことあるよね。そうだよね」ということが多くて、話が盛り上がって、あっという間に時間が過ぎていった。

海外ニートさんは、仕事は嫌いといいつつ、現在の定時で帰れる平和な生活を心から楽しんでいるようであった。ホワイトカラーの職場で、平社員がここまで過酷な長時間労働を強いられるのは、日本だけである。これは強調してもしすぎることはない。海外経験のない日本の人は、そういう海外の職場の現実を、自分の目で見たことがないので、信じられないかもしれない。けれど、本当に本当のことなのだ。日本の会社が外国人や子持ちの女性など、「体力のある日本人男性」という現在主流の人たち以外の力を活用できるようになるためにも、仕事のやりかたを見直して、みな定時で帰れるようにしていく必要があるんじゃないだろうか。海外ニートさんのいうように、戦場に向かうような悲壮な覚悟が要る、いまの日本の職場は変だ。

海外ニートさんは、日本の職場が変わるのは時間がかかるので、まずは若い人たちが海外に出てみるのがいいのではないか、とおっしゃっていた。お勧めは、高校卒業してすぐに英語圏アメリカ・カナダ・オーストラリア等)の大学に行くことだそうだ。確かに、中堅クラスの大学なら、ちょっとだけ英語をがんばれば、日本人でも簡単に入学できる(卒業するのは大変だけどね)。海外で実際に暮らして、向こうの仕事をやり方を見てくれば、日本の労働慣行のおかしさにすぐ気づくだろう。そういう人たちが増えることによって、少しずつ日本人の働き方は変わっていくじゃないか、と。

海外ニートさん、今後もご活躍をお祈りします。新しいエントリを楽しみにしていますね。